あり得ないものを………。
昼過ぎの通りは、活気に満ちあふれていた。いつもよりちょっと、遅めの食事を採るため車を走らせる。
白石区に入り、東札幌辺りに差し掛かった。
いつもの通り慣れた道は平穏さを保っていた、一部を除いては。
交番の向かいには公園があり、横には畑があった。
その畑の中………。
車が通る道路からは5〜6mといった距離だろうか、一人の成人男性がその場にしゃがんでいた。
年齢にして20歳前後。身なりは普通で、短めの髪型をしていた。
普通なら軽く見過ごすのだが、今回は一度見過ごした後我が目を疑った。
「おい、マジかよ?」助手席に無口で乗っていた人間が、久しぶりに発した言葉。
畑の中の彼の下半身は紛れもなくズボンを下ろした状態だった。
車が進む度にアングルが正面から横向きに見えているが、シルエットは猿から進化したはずの人間にあるはずがない尻尾状のモノが約15センチ程突起していた。
まあ、文章を読んでいる途中で察しがついた人もいるだろうが、所謂成人男性の『野○ソ』である。
なぜ?という疑問が次々と浮かび上がる。
隣は交番、向かいには公園もちろんトイレはある。
しかも敢えて畑の道路寄りの場所で、一切人目を気にする素振りはなく、むしろさりげなく彼はそれをやってのけた。
あまりにも当然という様な堂々として態度。
結局、そこから目を離せなくなり一部始終を見てしまったが、彼は用をたした後その尻尾がなくなった所を拭く素振りも見せず、躊躇せずに白いズボンの様なものを履いた。
よく見るとそれは『ももひき』の形をしていた。
「パンツは?」
すかさずツッコミたかった。
白昼堂々とした『あり得ないモノ』に戸惑い、写メもムービーも撮れず何も出来なかった俺・・・・・・。
彼を思えば自分が普通の人間に思えてきた・・・・。
~完~
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